風庵展示会 「明治村 再訪」 写真4人展

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 暦では三月なのに、風が冷たくジャンバーの襟をたて、明治村のゲートを通る。時計の針は午後3時前を指している、顔に冷たい雨が一つ、みるみる辺りが暗くなり雨霧も出てきた。 閉村まで1時間しかない!シュー、シューと蒸気機関車が止まっている。煙管の煙みたいに、うす白い蒸気の中を機関手が見え隠れする。まだ学生顔の車掌が、最終でーすの案内。

坂道を下ると瓦斯灯を模した電燈と雑木林が良く似合う、左に旧帝国ホテルが見えると正面には、ぐるりと建物群その先に入鹿池が広がっている。

私の同期に生まれて海を見たことがない男がいた、入鹿池を見て日本海だ!とはしゃいでいる。いや違うぞ太平洋だぞ品川灯台ちゅうのは、東京だろが実は私も海なのかなと思っていました。・・・まさに文明開化であった

高度成長、地方から都会へ大勢の若者が来ていた、懐かしい思い出であった。

ザビエル天主堂の十字架に雲の切れ間から光が射し美しい、しばし写真も撮らず眺めていた。堂内はステンドグラスの色が美しく、それが床や壁面に映り調度品や柱を包み込み伸びたり曲がったりしながら、少しずつ移動して行く。

40年も前に明治村に訪れた時は、正門から聖ヨハネ教会、西郷従道邸、森鴎外・夏目漱石邸・鉄道寮新橋工場・歩兵第6連隊兵舎・・・・と歩く

明治は黒鋼色の印象が強いのか、凄く疲労感がした。

 ところが、ザビエル天主堂に入るとほっとする。ステンドグラスの色彩と賛美歌の効果音と高い天井、開放感で呪縛が解けたのかもしれない、当時貴重な建造物を保護するため飲食、娯楽的ものが制限されていたため気を休める処が少なかった。今思うと堂内に乳香が焚いてあれば!もっと素晴しい印象に違いない。

嗅覚は記憶、感情、疲労等に影響するらしい。

季節の草木や、花の香り、さまざまな匂いを求め無意識に人は旅をする。心地良い香りは、心身を癒し、生活の匂いは昔の懐かしい記憶を想いだす。

  閉村の案内があり外に出ると小雨であった、ゆっくりと息を吸って匂いを試した、春先の草木と雨の匂い、まだ生きている自分を感じた。

しっとりと濡れた石畳に電燈が映りこみ、広大な景色も雨につつまれて消えていった。

遠くで、小さい汽笛が一つ聞こえた。美しい風景であった。

 

 作品紹介

 『憧憬』は人力車に女性二人が写っているが、一人は狐のお面顔である。

作者は女子学生時代に訪れているが、乙女心でしょうか、内面と外面とで激しく葛藤する、自分自身を人力車の二人にシンクロさせた、描写は見事です。

 

『驀進』は明治といえば鉄道ですが、作者は機械館外にある車輪台車を 広角レンズを使い車輪のアップのみで、驀進する列車を想像させた。

 

                       文 久次米譲 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

【明治村 再訪】

日時:29年4月1日(土)-4月30日(日)

   10:30-16:00 水・曜日定休日

会場:法福寺内風庵

写真出展者:石田敏子 久次米譲 高橋正 吉山和之

風庵写真倶楽部による それぞれの「明治村 再訪」写真展約20点がカフェスペースに展示されます。

どうぞ足をお運びくださいませ。

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